児童養護施設への入所を検討する保護者の方にとって、「どのような職員が子どもをケアしてくれるのか」は気になるポイントです。
「職員の待遇は適切なのか」という疑問も多く寄せられます。本記事では、児童養護施設の給料事情を中心に解説します。
職員体制や処遇改善の取り組みについても詳しくお伝えします。職員の待遇は、子どもへの支援の質にも直結する重要な要素です。
一人で悩まず、参考程度にぜひ最後までお読みください。
児童養護施設の給料の全体像と職員の待遇
児童養護施設で働く職員の給料は、施設の運営形態や勤続年数、職種によって大きく異なります。
まずは全体像を押さえておきましょう。
児童養護施設で働く職員の種類
児童養護施設には複数の職種が配置されています。それぞれ役割と給料水準が異なります。
- 児童指導員(子どもの生活全般を支援)
- 保育士(特に乳幼児ケアを担当)
- 家庭支援専門相談員(家族再統合の支援)
- 心理療法担当職員(心のケア)
- 個別対応職員(個別ケアが必要な子どもを担当)
- 看護師(医療的ケア)
- 栄養士・調理員(食事提供)
- 施設長(運営責任者)
給料の平均水準
児童養護施設の職員は、社会福祉施設の中でも処遇改善が進められている分野です。
常勤職員の平均給与月額は、おおむね28万円〜35万円程度と言われています。
ただし、これは経験年数や役職、地域、施設形態によって幅があります。(出典:厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」)
給料に影響する要素
給料水準は以下の要素で変動します。
- 勤続年数・経験年数
- 保有資格(保育士、社会福祉士、精神保健福祉士など)
- 役職(主任、副施設長、施設長など)
- 夜勤や宿直の回数
- 施設の所在地(都市部か地方か)
- 運営主体(社会福祉法人、自治体など)
職種別に見る児童養護施設の給料水準
同じ施設内でも、職種によって給料の構造は変わります。それぞれの職種別に給料を見ていきましょう。
児童指導員・保育士の給料
児童養護施設の中心的な職員である児童指導員と保育士は、子どもの生活に直接関わる重要な役割を担っています。
新卒の初任給はおおむね月額18万円〜22万円程度と言われています。
勤続10年程度になると、月額25万円〜30万円程度になる傾向があります。
専門職(心理・家庭支援)の給料
心理療法担当職員や家庭支援専門相談員は、専門資格と経験が求められます。
そのため給料水準もやや高めに設定されることが多いと言われています。
- 心理療法担当職員:月額25万円〜35万円程度
- 家庭支援専門相談員:月額25万円〜33万円程度
- 個別対応職員:月額24万円〜32万円程度
施設長・管理職の給料
施設長や主任クラスになると、月額40万円〜50万円台になることもあると言われています。
施設運営の責任が重い分、給料水準も高くなる傾向です。
職種別給料の比較表
| 職種 | 初任給(月額) | 10年目目安 | 主な必要資格 |
|---|---|---|---|
| 児童指導員 | 18〜22万円 | 25〜30万円 | 児童指導員任用資格 |
| 保育士 | 18〜21万円 | 24〜29万円 | 保育士 |
| 心理療法担当職員 | 20〜24万円 | 28〜35万円 | 臨床心理士など |
| 家庭支援専門相談員 | 21〜25万円 | 27〜33万円 | 社会福祉士など |
| 施設長 | — | 40〜55万円 | 実務経験等 |
※上記は一般的な目安です。実際の金額は施設や地域により異なります。
児童養護施設の給料を左右する措置費と加算制度
児童養護施設の給料は、国の措置費に大きく依存しています。
措置費とは、子どもを養育するために支払われる公費のことです。
措置費とは
措置費は、子どもの入所に伴って国と自治体が施設に支払う費用です。
この中に「事務費」として人件費分が含まれています。
措置費の単価は児童福祉法に基づいて国が定めており、職員配置基準と連動しています。(出典:e-Gov法令検索「児童福祉法」)
処遇改善加算の仕組み
近年、社会的養護分野では処遇改善が進められています。具体的には以下のような加算制度があります。
- 福祉・介護職員処遇改善加算
- 特定処遇改善加算
- ベースアップ等支援加算
これらにより、職員の給料は年々改善傾向にあると言われています。
職員配置基準の影響
職員の配置人数が増えれば、一人あたりの負担は減ります。
しかし措置費の総額は決まっているため、給料との両立が課題となります。
現在、国は「より手厚いケア」を目指して配置基準の改善を進めています。(出典:こども家庭庁)
児童養護施設の給料と労働環境(夜勤・福利厚生)
給料を考えるうえで、労働環境も切り離せない要素です。
保護者として、子どもをケアする職員がどのような環境で働いているのかを知っておくことは大切です。
夜勤・宿直の実態
児童養護施設は24時間365日子どもの生活を支える場です。そのため、職員には夜勤や宿直があります。
- 夜勤手当:1回あたり3,000円〜8,000円程度
- 宿直手当:1回あたり4,000円〜10,000円程度
- 月の夜勤・宿直回数:4〜8回程度が一般的
福利厚生と各種手当
給料以外の手当や福利厚生も、職員のモチベーションを支える要素です。
- 住宅手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 資格手当
- 退職金制度(多くの施設で社会福祉施設職員等退職手当共済に加入)
離職率と人材定着の課題
児童養護施設は専門性が高く、業務負担が大きい職場です。
そのため、人材確保と定着が課題と言われています。
給料水準の改善は、子どもへの安定したケア提供のためにも重要です。なお、施設内での不適切事案も報道されており、職員の労働環境改善は虐待防止の観点からも注目されています。(出典:Yahoo!ニュース等で報道)
給料水準と子どもへのケアの質の関係
「職員の給料の話と、自分の子どものケアにどんな関係があるの?」と思われるかもしれません。
実は深い関係があります。
職員の安定が子どもの安定につながる
子どもにとって信頼できる大人が継続的に関わることは、心理的安定の基盤となります。
職員の離職が多いと、子どもは何度も別れを経験することになります。
適正な給料と労働環境は、子どもの愛着形成や心の安定に直結する要素です。
専門性の高い職員確保の重要性
虐待や複雑な家庭環境を経験した子どもには、専門的なケアが必要です。
経験豊富で専門知識を持つ職員を確保するには、相応の処遇が必要となります。
保護者が施設を選ぶ際の視点
児童相談所を通じての入所が基本ですが、施設の運営方針を知ることは保護者にとって大切です。
職員の定着率や研修体制も判断材料になります。
施設見学の際に確認したい項目については別記事で詳しく解説しています。
児童養護施設の運営費と給料(人件費)の関係
施設の運営費全体のうち、人件費がどれくらいを占めるのかを知ると、給料の仕組みがより理解できます。
運営費の内訳
| 費目 | 割合の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 人件費 | 約65〜75% | 職員給与・賞与・社会保険等 |
| 事業費 | 約15〜20% | 食費・被服費・教育費等 |
| 管理費 | 約10〜15% | 光熱費・修繕費・事務費等 |
※施設規模や運営方針によって変動します。
公費による運営の特徴
児童養護施設は措置費という公的資金で運営されています。
そのため、給料水準も一定の基準内に収まる仕組みです。(出典:厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」)
寄付や独自財源の役割
多くの施設では、措置費に加えて寄付金や独自財源を活用しています。
子どもへのプラスアルファのサービス提供や職員研修の充実を図っています。
児童養護施設の給料動向と処遇改善の今後の見通し
社会的養護分野は近年改革が進んでおり、給料事情も変化しています。
近年の処遇改善の動き
政府は社会的養護に関わる職員の処遇改善を継続的に進めています。具体的には次のような動きがあります。
- 2022年からのベースアップ等支援加算
- 専門職への加算拡充
- 小規模化・地域分散化に伴う加算
小規模化・家庭的養護への移行
国は大舎制から小規模グループケアやファミリーホームへの移行を推進しています。
これに伴い、職員配置や給料体系にも変化が生じています。
家庭的養護の取り組みについては別記事で詳しく解説しています。
今後の課題
専門性向上と処遇改善の両立が今後の課題です。
また、地域格差の是正や若手職員の定着支援なども課題と言われています。
よくある質問
Q1. 児童養護施設の職員の給料は他の福祉職と比べて高いですか?
児童養護施設の職員給料は、保育士や介護職員と同水準か、やや高い傾向にあります。
夜勤手当や処遇改善加算が加わることが理由のひとつです。
ただし、業務の専門性や負担の大きさを考えると、まだ改善の余地があると言われています。
Q2. 子どもを預けると保護者は費用を支払う必要がありますか?
児童養護施設の運営は基本的に公費で賄われます。
ただし、保護者の所得に応じて「徴収金」が発生する場合があります。
詳細は児童相談所にご確認ください。
Q3. 職員の給料が低いと子どもへのケアの質が下がるのでしょうか?
直接的に下がるとは言い切れませんが、職員の定着率や専門性確保に影響することがあります。
安定した職員体制は、子どもの心理的安定に重要です。
Q4. 施設見学で職員の待遇について質問してもよいですか?
給料の具体額を聞くのは難しいですが、「職員の平均勤続年数」「研修体制」「職員配置」については質問しても問題ありません。
子どもへのケアの質を判断する材料になります。
Q5. 児童養護施設の職員はどのような資格を持っていますか?
多くは保育士、社会福祉士、精神保健福祉士、教員免許などを保有しています。
心理職には臨床心理士や公認心理師の資格保持者が配置されています。
Q6. 職員の人数は子どもに対して十分なのでしょうか?
国の配置基準は年々改善されていますが、現場では人手不足を感じる声もあります。
施設によって体制は異なるため、見学時に確認することをおすすめします。
Q7. 給料事情を知ることで保護者にどんなメリットがありますか?
職員の働く環境を理解することで、子どもをケアしてくれる人々への信頼感が深まります。
また、施設選びや、職員とのコミュニケーションを良好に築くうえでも参考になります。
詳しくは専門家にご相談ください。
まとめ
児童養護施設の給料は、子どもへのケアの質と密接に関係する重要な要素です。本記事の重要ポイントを整理します。
- 児童養護施設の職員給料は職種や経験により幅があり、平均月額は28万〜35万円程度と言われている
- 給料は措置費(公費)で支えられており、処遇改善加算も適用される
- 夜勤・宿直手当や福利厚生も給料の重要な構成要素
- 専門職(心理・家庭支援)はやや高めの給料水準に設定される
- 職員の安定した処遇は、子どもの心理的安定や愛着形成に直結する
- 近年は処遇改善や小規模化に伴う変化が進んでいる
- 施設見学では職員の定着率や配置体制を確認することがおすすめ
児童養護施設に関する不安や疑問は、一人で抱え込まずに児童相談所や専門家にご相談ください。
本記事の情報は参考程度にとどめ、最新の制度については公式情報もあわせてご確認いただくことをおすすめします。

